2011年04月19日
| ご意見・ご要望への回答
緊急企画「地震と放射能:いま知っておくべきこと」で皆さんから寄せられた質問について、講師の先生方に回答して頂きました。
地震については未解明の部分が多々あります。また、原発事故は未だに現在進行形です。
あくまでも現時点での知識をもとにした回答であることをご理解下さい。
先ずは第1話、地震についての質問に生田先生が回答します。
Q 地震雲が現れるということを聞いたり、見たりしましたが、それは本当でしょうか?(地震が雲が現れた近日におきていました)
A 地震雲と地震の関係は科学的に証明されているわけではありません。科学的とは、「客観的」・「統計学的に有意」とか、「再現性がある」とかともいいかえられます。ただし多くの地震学者はそのような現象があっても不思議はない(一般に言われる「地震雲」を説明する物理的メカニズムは現在の科学の枠組みの中でもいくつか考えられます)とは考えています。ですが、地震雲で地震予知ができるかどうかはまた別の問題です。予知が成功するためには「地震雲」と「地震」の間に、地震雲が現れれば必ず地震が起こる、現れなければ地震は起こらないという関係性があることが条件になるでしょう。
Q 10mの津波が来るなら単純に標高10m以上に住めば安心と考えていいのですか?それとも津波は上陸してから高さが上昇することもあるのですか?
A 安心してはいけません。津波の【遡上高】(陸にあがってから駆け上がる標高)はしばしば【実波高】(海岸線に到達した時の高さ)を大きく上回ります。
ところが防災計画を立てる時に計算されている津波のシミュレーションは、自治体によって異なりますが一般的には【実波高】のみを計算して「浸水地域」を推定していることが多いようです。
津波の挙動は陸にあがると異なる物理過程に従い、同じ枠内で計算できないためです。特に川の近くや海岸線からゆるやかに上がっている平地では、推定波高より高い場所に住んでおられる方も安心しないでいただきたいです。
この件、実波高からどのように浸水域を推定しているのか、静岡県に問い合わせてみます。ありがとうございました。
Q 断層の直上の場合は揺れの種類(東海地震の)は? どうなる?
A 巨大地震・海溝型地震の特徴として、東日本大震災時のような長周期の揺れが非常に大きいと考えられます。ただし静岡県では断層面が非常に近いために短周期の揺れも減衰せず、非常に強くなると考えられます。
恐ろしいですが東北太平洋沖地震と兵庫県南部地震をあわせたようなものになるでしょう。
Q 東海地震が起こった時、静岡市に押し寄せるであろう津波は、どこから発生すると仮定しているのでしょうか?(例えば、駿河湾から?)
A 静岡県の被害想定で想定している東海地震は駿河湾内と遠州灘の東側だけで断層すべりを起こしますので、駿河湾とその近くからのみです。この場合、地震が起こった瞬間から海面高が上昇し始め、5分程度で最初のピークが到達するでしょう。脅したくはないですが、逃げる時間は非常に短いです。
Q 東海地震で一番必要な備えは?
A すみません、一概には言えませんが、まずはいつ来てもおかしくないと考えることでしょうか。
その上で防災グッズも大事ですが、死なないことが最も重要です。家が倒壊しなければ圧死率は劇的に下がります。津波でさらわれない場所で地震で壊れない家に住むようにしていただきたいです。
Q 大型地震がおきることで、海水のプレート境界への流入量が増え、火山活動が活発になるということはあるのでしょうか?
A 巨大地震が起きても海底から海水が急激にプレート境界に入っていくということは考えにくいです。岩石の間は非常に圧力が高いので。
水は沈み込む堆積物や、プレート自体の内部に取りこまれた形で一緒に運ばれていると考えられています。仮に海水のプレート境界への急激な流入がありえたとしても、その水が地下100km付近でマントル内の岩石を溶けやすくし、溶けた岩石が浮力により上昇して地下数10kmのマグマだまりに到達するまでには何度も東海地震が発生するほど長い時間がかかるでしょう。
ただし、大型地震によりマグマだまりが刺激を受け火山活動が活発になることは充分にあり得ます。
長くなりましたので、放射能、放射線については次の記事で。
Posted by 元サカ at
13:06
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