今月のサイエンスカフェin静岡(第96話)は5月21日(木)に開催予定です。
今回は静岡大学工学部化学バイオ工学科の岡島いづみ先生がカフェに再登場します。前回は平成21年 4月23日の第27話で、そのときのタイトルは「超臨界流体―水と二酸化炭素によるリサイクルとものづくりー」でした。
今回の岡島先生のご研究から、「超臨界流体―高圧流体で何ができる?―」という題目でお話して頂きます。
超臨界流体というのは、物質を「臨界点」以上の温度・圧力にしたときに現れる特殊な状態のことです。
臨界点については少し説明が必要ですね。一定の圧力のもとで物質の温度を上げていくと、多くの場合、固体から液体、さらに気体になります。氷から水、そして水蒸気になるのを思い出して下さい。(ただし、ドライアイスのように固体から直に二酸化炭素に昇華するような場合もあります。)このような状態の変化を「相転移」とよびます。相転移の温度は圧力によって変化します。例えば、富士山の山頂では気圧が低いため水の沸点が下がり88℃くらいになってしまいます。圧力ごとに相転移の温度がどう変化するのかをまとめたのが相図です。下に模式的な相図を示します。
【代表的な相図】
この図を見ると、圧力が中程度の場合、温度を上げていくと固体→液体→気体になる様子が見て取れると思います。大気圧下では0℃で水と氷が共存しますが水蒸気は存在しません。しかし、圧力と温度を調整してやると三つの相(固体・液体・気体)が共存する条件が見つかります。これが三重点で水の場合は、温度が 0.01 ℃ 、圧力が 0.006032気圧です。つまり、この条件なら氷・水・水蒸気が同時に存在できるわけです。
また、圧力や温度がある値を超えると気体の密度と液体の密度が同じになってしまう場合が生じます。その温度と圧力が今回のテーマとなる「臨界点」です。温度と圧力がともに臨界点を超えると文字通り「超臨界流体」となり、もう液体と気体の区別がつけられなくなります。水の臨界点は374℃、218気圧であり、二酸化炭素では31.1℃、73.8気圧であることが知られています。
超臨界流体は気体の持つ流れやすさ(拡散性・流動性)と液体が持つ様々な物質を溶かし込む能力(溶解性)の両方を持っており、様々な応用が可能です。例えば、超臨界二酸化炭素を用いた有機合成や、超臨界水や超臨界アルコールによるプラスチックリサイクル等、身の回りの流体を高圧にすることで様々な反応を行うことができます。今回は実際にどのような技術に用いることができるか、詳しく紹介して頂きます。
----------------------------------------
最近のカフェは大入りになる場合が多く、満席を越えてしまい入場制限をすることもしばしばです。
折角遠くから来て頂いたのにお帰り頂くのは本当に申し訳ないことですが、消防法の定めにより満席になってしまったら、入場をお断りせざるを得ません。 先着順で150名までですので、どうかご了承下さい。
満席になるのはほとんどの場合、開始時刻である18時前後です。ご都合のつく方はお早めにお越し下さい。開場は17時を予定しています。
(ご予約は受け付けておりません。また、遅れてくる方のための席取りもご遠慮頂いております。)
当日の混雑状況はツイッター にて17時半頃から実況します。遅れそうになったら、参考にして下さい。
ツイッターのアカウントは →
https://twitter.com/SciCafeShizuoka です。 #SC静岡 というタグで検索して下さい。
(以前はツイッターと同時にブログでも混雑状況を実況していましたが、時間的に難しいのでツイッターのみに致します。)
---------------------------------------
サイエンスカフェin静岡 第96話
2015年5月21日(木)
講師:岡島いづみ助教(静岡大学工学部化学バイオ工学科)
演題:生命のカギとなるDNAのカタチ
☆会場: B-nest 静岡市産学交流センター(静岡市葵区御幸町3-21 ペガサートビル6階)
地図はこちら→
http://www.b-nest.jp/map.html
セノバの向かい側、御幸町図書館の入っているビルです。
☆時間:18時〜19時半(開場17時)
☆入場無料(無料なのに、なんと茶菓子と飲み物付きですよ。)
☆事前申込不要 直接会場へおいで下さい。
ただし、定員150名を越えた場合は安全上の問題があるため入場をお断りしています。
このため、余分な席取りはお断りしておりますのでご了承ください。
★参加対象: 聴衆として高校生程度〜シニア層を想定していますが、最近は小中学生の参加者、常連さんも増えてきました。「科学」と「科学者」に興味を持っていて他のお客様の迷惑にならないように静かに聞いて下さるお子さんは「未来の科学者」として大歓迎です!