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静岡大学理学部では、毎月1回、木曜日の午後6時から静鉄新静岡駅近くのペガサートで「 サイエンスカフェ in 静岡」を開いています。入場無料。事前登録も要りません。

ご意見・ご要望への回答

質問に答えて(放射能)「地震と放射能:いま知っておくべきこと」

 第2話(放射能、放射線)への質問に対しては、奥野先生と大矢先生に回答して頂きました。
 繰り返しになりますが、あくまでも現在の知識をもとにした回答であることをご理解下さい。


Q 放射線が体内に存在する場合、「活性酸素を出し続けるため、ガン等の悪影響を及ぼす」と記載されているものがありますが、真実は?
A 放射線と人体との相互作用は主に放射線と水との相互作用でできた活性ラジカルによる二次的な影響が大きいです。

Q 放射線の害を減らす方法として、「活性酸素と結びついて、体外に排出させる作用を持つ、ポリフェノール等を含有する食品を摂る・・・」ということが一部で提言されていますが、その真意および効果は?
A 活性ラジカルを消去することがよいと言われています。そのためには茶カテキン等が有用であることは化学的に調べられています。まだ、生体でそれを実証しているところまでは研究が進んでいないと思いますが、その可能性は高いです。

Q 内部被ばくと外部からの被ばくの危険性の違い
A 内部被ばくは放射性物質を体内に取り込み、そこから受ける放射線による被ばくで、外部被ばくは体外に放射性物質があり、そこからの放射線の影響です。α線、β線は内部被ばくの影響が大きいです。

Q 核実験と原発事故ではどちらが放射線量が多いのか?
A 規模によりますので、どちらが多いか一概に言えません。

Q 原発トラブルによる放射能汚染は空気中に飛び散った放射性物質に起因するものと考えます。野菜等が出荷停止となっているのは野菜の表面に放射性物質が付着しているからでしょうか? 洗えば落ちるものですか? 地上に落ちた放射性物質は野菜に吸収されるのでしょうか? その比率はどれくらいですか?
A そのとおりです。洗えば落ちるものもありますが、どれくらい落ちるかは洗い方にもよりますし、付着の程度によってもかわります。そのため、安全を考えて出荷停止となっているのだと思います。地上に落ちた放射性物質は根等から吸収することが考えられますが、時間はある程度かかると考えられます。IAEAの汚染評価は表面のみに対して日本の評価は土の深さ5cm程度(だったと記憶しています)を対象にしているのは、このためです。

Q γ線と中性子線の透過性の差の原因を教えてほしい。
A γ線は電磁波ですので透過性が高いです。一方、中性子は質量を持っていますので、透過しにくくなります。

Q 60Coの半減期は5.27日ですか?
A いいえ、5.27年です。講演中に言い間違えたかも知れません。申し訳ございません。

Q 福島原発周辺県の農家が困っています。風評被害ということで、東京直売会では飛ぶように野菜が売れているそうですが、実際に風評なのですか? 安全なのですか? 2歳と0歳の子供がおり、不安で野菜が買えません。教えてください。
A 当然、放射能を測定し、基準値以下であることを確認して販売しているはずです。従って、食しても問題無いと思います。

Q (配付資料の)7ページ、日本では1人あたり平均年3.8mSv。医療以外だと1.55mSv。しかし、不可抗力で受ける放射線限度は1mSvになっているのはなぜですか?
A ラドンを含んでいません。この1mSvは生物学的な影響が出現する線量ではなく、あくまでも放射線防護や放射線管理の目安です。

Q マスメディアでヨウ素○ベクレル、セシウム○ベクレル」といいますが、どうやって測定するのですか?
A 測定方法は厚生労働省の「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に従って測定をします。

Q ウラン238がトリウム234になるまで45億年?
A ウランの原子数が半分になるのが45億年です。

Q α線、γ線など、どの種類の放射線も同様なシステムでDNAを損傷するの?
A 基本的には電離と励起作用によって他の物質に影響を及ぼします。放射線の種類によって単位距離当たりに与えるダメージが変わってくるので、同量の放射線でも生体への影響は変わってきます。

Q α、β、γ、X線はすべて放射線なのか? どれを浴びても(ホルミシス効果で)健康になるかも知れないのか?
A どれも放射線です。健康になるのかどうか、ホルミシス効果についてはまだ確立されたわけではありません。その可能性があるということです。

Q 放射性ヨウ素とは?
A 放射性ヨウ素にはヨウ素131やヨウ素125などありますが、原発から出てくる主なものはヨウ素131です。これは主にβ線(0.606 MeV)とγ線(0.364 MeV)が出ています。

Q 水中のプルトニウムの規制値が1Bqと非常に厳しいのは半減期を考えると実質的に減らないからですか?
A 半減期が長いと言うことは、プルトニウム自身の量は多いということになります。また、自然界の存在しないものですので生物学的適応力がないからだと思われます。

Q 原発から放出された放射性微粒子の大きさは?
A 福島の事故ではまだ情報を持っていませんが、チェルノブイリ事故ですと、粉砕された燃料粒子(10ミクロン以上)、蒸発後凝縮したサブミクロンサイズ(0.1ミクロン程度)の微粒子の二種類があるという報告がなされているようです。


 以上です。お忙しいところ、直ぐに御回答頂きました生田先生、奥野先生、大矢先生にあらためて感謝申し上げます。

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Posted by 元サカ at 13:07Comments(1)

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時機を得た企画で大入りだったそうです. 当日の内容や質疑応答など,詳細がブログで公開されております. サイエンスカフェ in 静岡(ブログ支店): 満員御礼「地震と放射能:いま知...
【サイエンスカフェレポート】サイエンスカフェ in 静岡特別版「「地震と放射能:いま知っておくべきこと」」(4/14)【Science and Communication】at 2011年04月20日 05:33
この記事へのコメント
坂本店主、いけなかったわたしは、報告を楽しみにしておりました。ありがとうございます!
また、友人のライターが出かけていたようで、彼女の報告もありがたく拝読しました。
直面する大問題の前に、なす術もなくおびえるのではなく、知るということで立ち向かう方法もあるのですものね。
今後もよろしくお願いします。
Posted by TJ at 2011年04月19日 22:41
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